2000年 11月中旬の日記
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11月11日(土)
起きたのは11時半であった。やっぱり疲れているな。息子は保育所に行っている。今日はカミさんは保育所のバザーの準備に行くので、午後は私一人になる。

しかし、ボンズってのは凄いねえ。フォークボールでもストレートとぜんぜん同じタイミングで振ってホームランにしてしまっているように見える。やっぱりスイングが速いから多少のタイミングやコースの変化は吸収してしまえるんだろうな。スイングの始動を遅くできるぶん、よく球を見極められるということで。

久しぶりにFireWireの40GB外付けハードディスクドライヴを出してきてThinkPadに繋いでみる。前回、認識できなくなってしまったので、冷却期間をおいてもう一度やってみるのである。コンピューターのことだから同じだとは思うんだけどね(笑)。しかし、認識した。理由はよくわからんが、ラッキーである。「これは、メーカーや店と交渉しなければならないか」と思っていたのだけどね。原因を調べたり交換の交渉をするのは面倒だし時間がかかることだからね。新しいのを買い直すよりも嫌かもしれない。この機会を逃さず全体を初期化する。原因がソフト的なものならば、それで解決するだろう。ディスクの初期化処理は最初はゆっくりながらも順調に動いていたのだが、進行状況が94%で止まってしまった。1時間以上待っても、それ以上進まない。やはりダメか。これは、返品せねばならないのかなあ。

バザーの準備が早く終わったということで、息子はカミさんが連れて帰ってきてくれた。けっきょく今日も家の外には一度も出なかったような気がするな。夕食後、妻子が風呂に入ってから私が風呂に入ろうとすると、カミさんは寝るという。バザーの準備で疲れたらしい。息子は彼女と一緒に寝かそうとするが、私と寝ると言い張るのである。息子を独りにするわけにはいかないしなあ、などと思っていると彼女はプラレールのビデオを見せておくという。大丈夫かと言うと彼女は「30分もかからないなら大丈夫よ」と応えるので、そのまま風呂に入るのである。

風呂に入っていると、息子が呼ぶ声が聞こえるような気がする。脱衣場に出て身体を拭いていると息子が下りてきた。「こわかった」とか言っている。どうも、30分も保たずにビデオは終わってしまったようである。しかもビデオソフトだったので自動的に巻き戻してビデオの電源が切れてしまったらしい。何だかなあ。

風呂から上がるとすぐに息子と寝室に上がって寝るが、彼はすぐに寝てしまったのであった。珍しく彼が寝たのを確認した時点でも私は起きていたのだが(苦笑)、これから起きると来週がキツくなるのでそのまま寝ている。最近、疲れ気味だしね。



11月12日(日)
今日は6時頃から起きて通信する。昨夜はとても眠れないと思っていたのだが、けっきょく気がつくとこういう時刻である。8時前になってカミさんが起きてきた。今日は保育所のバザーなのである。彼女は実行委員なので早起きしなければならないのだ。昨日は体調が悪そうだったので心配したのだが、今日はマシなようである。息子は起きてこない。やはり疲れ気味だな。

カミさんが出かける準備をしていたら息子が起きてきた。カミさんを送り出してから彼と一緒に食事をして「外に行こか」と言って保育所に行く(カミさんによると、彼は休みなのに保育所に連れてこられたのは不満だったようである)。カミさんはポップコーンを作って売っていた。彼女の仕事が終わると、私は保育所の門の外で来場者の自転車の整理である。こういう、体力や対人関係の気を使わない仕事なら、いくらでもできるんだな。

バザーはまだ続いているのだが、カミさんは息子がしんどそうなので連れて帰ってもいいと言っている。彼女はまだ帰るわけにはいかないのだが。息子が母親の周りをウロウロして営業の邪魔になっているし危険なので、離れるように言うと彼は「とーちゃん、きらい」モードに入ってしまった。抱き上げて母親から遠ざけようとするが、彼は身をよじり嫌がって泣く。仕方がないので降ろして「家帰ってアイス食べるか?」と言うと「あいす、たべる」と応える。現金なヤツめ。食い物で釣るのはイカンのだがなあ。

家にアイスクリームが無いと困るので、帰りに近くのスーパーに寄ってアイスクリームを買う。野菜ジュースも安く売っていたので買い込む。家に帰ると息子は「あいす、たべて、ねよな」と言う。よっぽど疲れているらしい。しかし、寝室に入ると彼は元気になるのである。ぜんぜん寝てくれない。そのうちにカミさんが帰ってきた。「かーちゃん、かえってきた」と言っても寝かそうとするが、すぐに彼は「おしっこ」と言って下りていったのであった。

しばらくして私が下りてゆくと、カミさんは息子は疲れているからもうすぐ寝そうだというようなことを言う。本当かね。私が「今日はシンジ(仮名)を連れて日本橋に行こうかと思ってたんやけど…」と言うと、急に彼は起き上がって「ちかてつ、のるん?」と言いだした。もう、すっかり行く気である。大丈夫かねえ。行く準備をしている間も、早く行こうと言ってうるさい。カミさんが「途中で『しんどい』とか『だっこ』とか言わへんな」と言うと「いわへんよ」と応える。普段の言動の一貫性の無さからして、とても信じられないんだけど(苦笑)。

近鉄の日本橋駅から電器屋街に歩く。やはり途中で息子は「つかれた」とか「ちかてつ、のりたい」とか言いだした。さらに「おなか、すいた」とか言いだしたので食事ができるところを探そうと思っていたら、目の前に吉野屋があった。そのまま二人で入る。牛丼とけんちん汁を各1つ注文したが、それだけを親子で分けて食うのは「一杯のかけそば」みたいでイヤなので、卵と漬け物も追加する(一緒だよ)。息子に食べさせていたら、彼は急にウエッと言いだした。口から牛丼がはみ出しそうになっている。慌てて彼の口のところに食器をあてがう。何とかそれは飲み込んでくれたが、「のど、いたい」とか言っているのである。そういえば、喉が腫れてて薬を飲んでいたんだっけ。今朝は飲ますのを忘れてたなあ。今も持ってきてないし。そういうことで、彼はあまり食べられなかったのである。

FireWireの40GB外付けハードディスクドライヴを、買った店に持って行く。症状を説明すると、店で預かることになった。とりあえず最大の用事は済んだが、ついでに例のポータブルMDレコーダーが売ってないか見に行く。「ちかてつ、まだ?」と言う息子をなだめながらである。しかし、売ってないのである。来月になるらしい。インターネット通販でも売ってなかったからな。でも何で発表したんだ。発売10日前に発表したのにそれから1ヶ月遅れるなんて、消費者をナメているとしか思えないぞ。

息子はかなり疲れている。しかし手を引いて電器屋を出ようとしたら、彼は急に立ち止まった。音楽用のキーボードが展示されていたのである。それからしばらくの間、彼はキーボードを触って遊んだのだった。疲れていたんじゃなかったのか。店を出て電器屋街を地下鉄の駅に向かって歩いているときにも、彼はまた立ち止まった。彼の指差す方を見ると伊勢海老のUFOキャッチャーがあったのだった。しかし、生きた伊勢海老なんて、ゲットしても扱いに困らないのかなあ。

今日もカミさんに地下鉄の駅まで車で迎えに来てもらう。駅の近くの古本屋で待ち合わせるのである。息子が疲れたとか言っているので、負ぶって店に向かう。店の中でも負ぶって本を見る。彼は私が見たい本があるエリアにいるのを嫌がるので、手を引いて見るよりもこちらの方がラクなのである。この古本屋はけっこう品揃えが濃い。近くにたくさんオタクが住んでいるに違いない。樋口紀美子さんのサイン入り単行本を買ったことさえあったからなあ(しかも100円!)。 …いま調べてて知ったのだが、樋口紀美子さんって、赤井孝美さんの奥さんになってたのね。ビックリ。そうか、今も描いておられるのか。そうすると、「単行本」の前に「OUT時代の」という記述を付け加えるべきだったかな。

で、以下の本を買った。
こちらITT草上仁:ハヤカワ文庫 1987)\420→\100
ラッキー・カード」(草上仁:ハヤカワ文庫 1990)\460→\100
スーパーサラリーマン草上仁:ハヤカワ文庫 1992)\460→\100
ビヨンド ザ ビヨンド」(牧野修:ログアウト冒険文庫 1995)\620→\100
ターミナル・エクスペリメントロバート・J・ソウヤー内田昌之:ハヤカワ文庫 1997)\840→100
宇宙の孤児ロバート・ハインライン矢野徹:ハヤカワ文庫 1978)\400→100
夢みる宝石シオドア・スタージョン永井淳:ハヤカワ文庫 1979)\520→100

ラッキー・カード」はすでに買っていたような気がするが(笑)、あいまいなときは買うのである。すでに持っているのに買った後悔よりも、持っていなかったのに買わなかった後悔の方が圧倒的に大きい。

カミさんによるとウチの母親から、投稿マニアである私の妹が某雑誌の大人向け童話(イヤラシイものじゃなく (^^;))で大賞を取ったので一緒に東京まで授賞式に行ってきたという電話がかかってきたらしい。ずいぶん喜んでいたという話である。まあ、こういう話は息子の嫁に対してがいちばんやりやすいだろう。嫁にはご苦労なことであるが。30過ぎて嫁にも行かずロクな仕事にも就かずにスネを囓られっぱなしの娘でも、こういうことがあっただけでも報われたような気持ちになるんだろう。親というのはそういうものである。まあ、ウチの母親は文学少女だったからというのもあるんだろうけどね。カミさんも「私が小説書いてるの、うちの母よりもお義母さんの方が喜んでくれた」とか言ってたからなあ。まあ、ウチはそういう家風ですから。そういえば妹が高校生の時に彼女のマンガが某雑誌に掲載されたのだが、母と妹は「掲載紙を教えろ!」「教えない!」で大喧嘩をしていたらしいからなあ(母は「何のためにあんたを育ててきたんや!」とまで言ったとか (^-^;))。妹も大人になったものである。まあ、あれだけスネを囓ってたら仕方ないか(苦笑)。



11月13日(月)
昨夜は日メビウスのCD-ROMドライヴをバッテリーパックに入れ替る作業を行っていた。今夜から出張なので、またブレーカーを落としてサーバーがダウンしてインターネットが使えなくなったりすると、私がカミさんに責められる。ついでにThinkPadの重要なデータをDVD-RAMにバックアップしていると、ディスクがオーバーフローしてしまった。FAT16でフォーマットしていたためだ。新しいディスクを出してきて、最初からバックアップを始める。全件コピーしなければならないので時間がかかる。やはりバックアップは日々少しずつやるのが正義だな。メビウスにバッテリーパックを装着するのもうまくいかない。なかなか充電が始まらなかったのだ。設定をいろいろいじってみてもバッテリーを認識してくれないようである。マニュアルを引っ張り出してきてよく見ると、電源を切っておかないと充電しないらしい。でも電源を切っても充電中のインジケーターが点灯しない。再起動してしばらく放っておいたら、やっと充電を始めたようである。いろいろやっていると何かと時間がかかって、けっきょく2時間しか寝られなかった。大丈夫なんだろうか?

今日は昼休みに職場近くの書店でロボットの夜(異形コレクション:光文社文庫)を買った。今日から出張なんだけどなあ。荷物を増やしてどうするんだ。まあ、いま読んでいるゴールデン・フリースロバート・J・ソウヤー内田昌之:ハヤカワ文庫)がもうすぐ読み終わるというのもあるんだけど。でも、ブルー・プラネット笹本祐一:ソノラマ文庫)も持ってきているんだぞ。まあ、「星のパイロット」シリーズだから、怒濤のように読んでしまうのではないかとも思っているのであるが。いつもは寝てしまっていて読めてないからね。

今夜から東京に出張するというのに、また夕方から別の仕事で打合せが入る。例によってそれがまた延びて、今夜も500系のぞみで移動することになるのである。またチェックインは真夜中だな。しかし、今日乗った500系はかなり揺れた。車両にもよるのだろうか。

で、新幹線の中で「ゴールデン・フリース」を読み終えたのだが、すげェ面白かったあ。こういうのが読めるからSFは止められない。いや素晴らしい。主人公であるコンピュータの人間に対する評の一つ一つがニヤリとさせてくれるし、オチも凄いと思ったらさらに2回ひねりくらいしてあるんだもんな。着地はちょっと欲求不満だが、これは確信犯だろう。いやとにかく大満足であります。ちょっとこのコンピュータ、人間的すぎるかなという気もするんだけどね、弱点も含めて。



11月14日(火)
6時に目が覚めた。昨夜も服を着たままホテルのベッドの上に倒れ込んでそのまま寝ていたのだ。FIVAの画面を見ると、いつの間にか「ディスクが足りなくなったのでIEのキャッシュを削除するか」というダイアログが表示されている。おかしいなあ、まだ100MB以上空いていたはずなのに。エクスプローラで見ると、空きが74MBになっている。何が起こったんだ、私は触っていないのに。今日になってから更新されたファイルを表示させてみると、スワップが100MBを超えている。いったい何なんだ。さらに、更新されたファイルを時間順に表示させると、5時過ぎから「off*.tmp」というファイルがいくつかできているのである。…ひょっとしてこれは、「FindFast」か? アンインストールしようとしたがCD-ROMが無いとできないようなので、コンパネでインデックスの自動更新を中止させる。…すると、いきなりマシンが速くなったのである。速い速い。嘘みたいに快適である。ずっとマシンが妙に遅かったのはコイツのせいだったのか。知らないうちにこういうウイルスみたいなプログラムを仕込んで処理速度を低下させるとは、さすがはマイクロソフトである。知らないで「こんなものかなあ」と思いながら使ってるユーザーは相当いるんじゃないだろうか。いま見たら、ディスクの容量も110MBに戻っていた。

東京から帰るのぞみの中でブルー・プラネット笹本祐一:ソノラマ文庫)を読んでいる。今回もいいですねえ。「ブルー・プラネット」を発見した場面が素晴らしい。そんなに盛り上げた表現でもないのに私ゃ、ちょっと泣いちゃいましたよ。ほんとにいい。宇宙に対する「愛」にあふれてますねえ。…いやー、泣ける泣ける。こんなに痛快な話なのに、何でこんなに泣けるんだろう。もう泣き笑いしながら読んでいるのである。
…いや良かった。いま読み終わったのである。そばに他人がいなかったら号泣したたかもしれんですよ。そのくらい良かった。同じ国、同じ時代にこういう作家が存在することを誇りに思うのであります。やっぱり小説というものは、本当に面白ければ読んでいて眠気など感じないものだ。

続いてロボットの夜(異形コレクション:光文社文庫)を読み始める。やはり重くても買って持ってきておいて良かったということだな。まずは草上仁氏「サージャリ・マシン」である。「ブルー・プラネット」の後だったので落差がないか不安だったのだが、それは杞憂であった。いや素晴らしい。アレとコレをこう結びつけるとこうなるのか。「アレ」は人工知能、「コレ」は脳死である。この、異質なものを混ぜて「化学変化」を起こさせ、トンデモナイものを出現させるところがSFである。

平山夢明氏「卵男」も好みの作品ではないがなかなか読ませてくれた…って、何か「好みのタイプじゃないけど、ヤったら気持ちよかった」みたいな言い方ですな。

家に帰ると妻子は風呂に入っているところだった。私が3階に上がって着替えていると、下から息子が呼ぶ声が聞こえてきた。下りてゆくと、「こわかった」と言ってベソをかいている。カミさんはまだ浴室の中である。寝るときにも、私がトイレに入っている間に先に寝室に入っておくように言ったら「こわい」と言ってたしなあ。最近、独りになるのが怖いらしい。ちょっと前までは平気だったのになあ。まあそれだけ知恵がついてきたということか。



11月15日(水)
目が覚めたのは6時近かった。ヤバい。新聞社のサイトから昨日の記事が消えてしまう。朝日の朝刊は昨日の分が残っていた。ホッ。ここだけは当日の記事しか読めないからね。夕刊フジのサイトとかは、表面上は消えていてもページは残っているので見る方法はあるのである。起きてきて食事の用意を始めたカミさんに言われて息子を起こしに行ったのだが、彼の第一声は「ちょっと、ねるん、おそかった」であった。「眠い」という意味なんだろうね。いつも「眠い」と言っては母親に「寝るんが遅かったからや!」と言って怒られてるから。

今日も引き続きロボットの夜を読んでいる。往きの電車の中で斎藤肇氏「自立する者たち」を読んだ。こりゃまた素晴らしいですね。見事に「現在」を道具として使いながら普遍的なものを表現している。そして帰りにまず菊地秀行氏「保が還ってきた」を読み終えたが…書いてあることはわかるんだが、何が面白いのかよくわからない。次の石田一氏「夜のロボット」も面白くない。趣向が全く効果を上げていないような。続く梶尾真治氏「小壺ちゃん」もあまり面白くなかった。なんか、ヒネリが足りない。失礼ながらSFにウスい人が書いたSFみたいで…

今夜は客先で21時まで仕事をしていた。今朝は雨が降っていて自転車が使えなかったので、家に帰るルートは複数考えられる。客先の最寄り駅のホームでZAURUS乗換案内を使って最も安いルートを検索する。鶴橋経由で帰るのが最も経済的なようだ。それを調べていて大変なことに気がついた。今朝はバスで最寄りのJRの駅まで行ってそこから客先の最寄り駅(JR)まで乗った。その運賃が450円だったのだが、一度大阪駅で降りると210+210=420円なのだった。うがあ、他の私鉄と競合しているところは安くしているのに、そこから少しでも競合していない路線を使うとその割引を適用しないとは、セコすぎるぞ、JR!

鶴橋駅に着いたときには22時近かったのだが、駅の側の本屋が開いていた。久しぶりに入ってみると、とても濃い品揃えである。こんな怪しげな立地条件のところなのに、なんでこんなにSF方面に濃いんだろうか。20世紀SF 1 1940年代 星ねずみ(河出文庫)と侵略者の平和 第2部 観察林譲治:ハルキ文庫)を買った。「星ねずみ」は「万華鏡」が入っているから買うのである。私も死にたくないからね(笑)。「侵略者の平和」は前巻が面白かったから買うのである。SFバカ本両方あったが、この版型だと買う気にならないなあ。大きくてもせめて新書版でないと。

家に帰ると23時近くになっていた。居間には誰もいない。もう寝てしまったのか。しかし、階上からカミさんの咳が聞こえる。彼女が起きているのに下りてこないということは、息子もまだ寝ていないのかなあ。パジャマを取るために寝室に入っていくと、息子と目が合ってしまった。彼はカミさんの布団を出て起き上がると、私の布団の上に歩いてきて横になる。仕方がないなあ、少し彼と話してから下りてゆこうと思って彼の隣に横になる。するとカミさんがそのまま寝室を出て下りていってしまったのだった。こんな時間なのに息子は元気である。何かと話しかけてくる。ああ、このままでは…



11月16日(木)
今朝も6時前に起きる。カミさんは昨夜はゲームをしていたらしい。冬コミの締め切りが近いので原稿をするために早めに居間に下りていったと思っていたんだが…何だかなあ。私は日記を書き終わったが、妻子は起きてこない。一人で朝食の用意をしなければならないか…と思ったが、パンがないのである。どうしようかなあ、インスタントのソバでも作るか…などと悩んでいたら妻子が起きてきた。居間に入ってきてしばらくすると、息子が泣き出した。「ぼくの、はんてん、ない」とか言っている。寝室にあるんじゃないか、母ちゃんは無かったと言ってるけど。そう言うと、一緒に探しに行ってほしいと言う。仕方がないなあ。階段を上がって行こうとすると、彼は手をつないでほしいという。何だか、ずいぶん弱気になってるね。大丈夫か。寝室に入ると、彼の半纏は母親の布団に押しつぶされていたのだった。不憫なことよのう。

今日、パソコンショップから電話がかかってきた。トラブっているFireWireの40GB外付けハードディスクドライヴの件である。店でテストしたが異常がなかったので本体の原因ではないかとのことである。「このままお返しするしかないんですけど」と言われてしまった。そう言われても困るんだけどなあ。やはり、タコなOSを使っていると金と時間を無駄にしてしまうのである。さて、どうしたものか。

今日は昼休みに職場近くの書店で光の帝国 常野物語」恩田陸:集英社文庫)を買った。「恩田陸って、異形コレクションに載ってたよな。SFの人だったっけ…」などと思いながらパラパラとめくっていたのだが、最初の数ページを読んで心に響くものがあったのである。こういう勘は、だいたい当たると思っているんだな。

今日、自分の会社から客先に行く途中にジュンク堂に寄って山の上の交響楽中井紀夫:ハヤカワ文庫)と息子の誕生日プレゼントの特急大図鑑 2000年小賀野実:JTBのMOOK)を買った。中井紀夫氏はいままで読んだ作品の評価は高いのだが、単行本が見つからなかったんだよな。この本も私の望んでいるタイプのSFではないようなので敬遠していたのだが、星雲賞も獲っているし、MOUSEと同じく読者の再販要望が多かったらしいからね。

今日も通勤中にロボットの夜を読んでいる。青山智樹氏「夜警」はなかなか面白かったし、眉村卓氏「サバントとボク」も良い話でございました。堀晃氏「背赤後家蜘蛛の夜」も面白かった。なるほど、そう来ますか。



11月17日(金)
今日も引き続きロボットの夜を読んでいる。岡本賢一氏「LE389の任務」は良かったっすねえ。ロボットSFの常道といえば常道だが、それでも良いものは良いのである。次の菅浩江氏「KAIGOの夜」も良かった。なかなか鋭い切り口ですな。続いて渡辺浩弐氏「2999年2月29日」。この人は初めてだが、この文体は好きだな。内容も、とてもいい感じである。

客先から職場に移動する途中で彼女が死んじゃったおかざき真里一色伸幸:ヤングジャンプコミックス)を買う。エロマンガであるが、登場する女性が魅力的なのである(連載では、ちょっと変な展開になっているが…飽きてきたのかも)。どうもエロマンガというのは、これだけ供給が増えているのに絵のレベルが高い人が少ないのよね。ふつうはどんなジャンルでも裾野が広くなると頂上が高くなるものなのに。レベルが高くなったらヨソに行っちゃうんだろうか(笑)。この本は、探していたけどなかなか見つからなかったのよね。あんまり刷ってないのか人知れず売れているのか。



11月18日(土)
今朝は5時前に目が覚めた。昨日のニュースはまだ見ていないので、夕刊フジのサイトが更新される前に起きねばならない。あちこち読んでいると、朝日の書評欄で「SFの殿堂」が「Fの殿堂」になっているのを見つけた。朝日にとっては、SFってのはその程度のものなのね。

今日は、居間にある棚を背の高いものに置き換えるのである。木製の家具を撤去し、ガレージにあるのと同じタイプのスチール製のラックを組み立てる。荷物が増えてきたので収納可能量を上げるためかと思っていたのだが、カミさんによると家具の専有面積を減らして息子の遊び場所を確保するためのだそうである。なかなか大変だ。カミさんも「シンジ(仮名)、保育所に行ってくれてて良かったわ」とか言っている。そりゃ、こんなときに彼がいたら足手まといで仕方がないですよ。

ついでに、棚に置いてあった本で面白くなかったものも捨てる。リングワールドラリイ・ニーヴン小隅黎:ハヤカワ文庫)なんか、最後まで読んでないんだけどね。でも、途中で読むのに耐えきれなくなってしまったのだ。大量生産のスペオペみたいで退屈で。「例の」アイデアのところまでも読んでない。でも捨てる。あな魂も捨てる。面白くなかったのは捨てる。断固として捨てる。

息子が帰ってきてから、彼の誕生日を祝う。本当は彼の誕生日は今日ではなかったのだが、父親の仕事の都合でその日にできないのである。不憫なことよのう。まあとにかく、ケーキの火を吹き消させ、プレゼント贈呈である。両親からは500系新幹線プラレール。プレゼンターは母親である。そして父親から特急大図鑑 2000年。彼は開けると早速「ほら、そにっくや」「あたらしいね、このほん」「あ、さんらいずえくすぷれす!」とか言っている。もう親はついていけないね。



11月19日(日)
今日は、カミさんがホームセンターに買い物に行くついでに古本を売りに行くというので家族で出かける。まずはホームセンターに行き、カミさんが買い物をしている間、息子にペットショップの動物を見せる。熱帯魚の水槽が数十個も並んでいるので、彼は見ていて飽きることがない。亀も好きなんだな。相変わらず犬猫にはあまり興味を示さない。

続いて古本屋に行き、本の評価をしてもらっている間に古本を見る。カミさんに「だんなさんがコバルトを読むなんて珍しいわね」と言われたので、意地になって次の本を買ったのだった。大人げないことである。
ロマンチックSF傑作選」(豊田有恒編:集英社文庫 1977)\240→\99

夕食はどうするかカミさんに訊かれたので「そろそろアナタがお寿司を食べたくなる頃だと思うんですけど」と言うと、その通りになったのであった。



11月20日(月)
今朝、寝ていると横の息子が泣き出した。「せき、でる」とか言っている。咳が出ていて止まらないわけではない。咳をするとどこか痛むのだろうか。身体のあちこちをさすってやるが、泣きやまない。激しく泣き続ける。寝ぼけた頭でどうしようか考えていると、階下からカミさんが上がってきた。彼を連れて寝室を出ていく。私はそのまま寝てしまうのである。

今夜からまた東京に出張なのであるが、今日もまた打合せが延びる。今回も20時で途中退場である。今夜ものぞみに乗って、ホテルに入るのは真夜中になるか。さらに、客先を出ると雨が降っていた。まったくもう、最悪である。傘を出すと荷物が増えるんだよな。

今日もロボットの夜を読んでいる。高野史緒氏「錠前屋」は枚数の割に面白くなかった。こういうのは現代人の私にはちょっと感情移入できませんな。次の安土萌氏「ケルビーノ」は…まあ、何というか、現代の童話というヤツでしょうか。東京への新幹線の中でまず横田順彌氏「木偶人」を読んだ。相変わらずの話だが、今回はあまり面白くなかったな。続く北原尚彦氏「人造令嬢」も速瀬れい氏「上海人形」も友成純一氏「蔵の中のあいつ」もなかなか読ませてくれたが、それほど興味を引かれるネタではない。続く江坂遊氏「缶詰28号」と本間祐氏「真夜中の庭で」は、はっきり言って面白くない。作者はこういう作品を描いてて楽しいのかねえ、などと不遜にも思ってしまった。そんなことを言える立場ではないのはわかっているのだが。次の奥田哲也氏「虹の彼方に」はまあ、面白かった。井上雅彦氏「カクテル」も何が面白いのかわからない。こういうのを面白いと思う人もいるのかねえ。

新幹線に乗っていると、検札に来た車掌さんは女性であった。あらら、こんな深夜ののぞみに女性が勤務しているのか…と思ったが、よく考えると車内販売も女性がいるよな。途中から車内放送も女性の声になった。あの車掌さんだろう(なんだか、車掌さんとか書くとバスの車掌さんみたいだな)。聞き慣れてないせいか、どうも違和感がある。本来、アナウンスは女声の方がいい場合も多いと思うんだが。まあ、本人が喋り慣れてない様子であるせいもあるかもしれないな。

狼谷辰之  新書館ウィングス文庫
なる
¥620+税  ISBN4-403-54021-X



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